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paycheck
キィ...
店のドアが開いた音がした。この時間帯、ぴったり夕方の6時に来るのは、いつも彼だけだ。
僕は咄嗟に「いらっしゃいませ!ご注文はお決まりですか?」とドアに向かって呼びかけた。まあ、彼の頼むメニューなんてものは分かりきっているが。
ドアの方から歩いてくる音と同時に、低い声が「やあ、ペパロニを一つ。今日も会えて良かったよ。俺はなんてラッキーな男なんだ!」と呑気そうに話す。注文を受けた僕は、彼のいつも通り楽しそうな雰囲気につられて無意識に笑いながら厨房へ向かう。
さっさと手を洗い、手袋をはめ、生地に手を伸ばす。慣れた手つきで粉につけ、トッピングを乗せ、窯へ入れる。チャンスには、少しだけトッピングを多くしてあげよう。僕はこの作業が好きでこの仕事をやっているかもしれない。焼き終わってチャンスと話すのが楽しみだ。
彼が店に通い始めたのはつい最近で、初めて店に来て僕と会った日からほぼ毎日来ている。彼が僕を見た瞬間の、あのサングラス越しの輝いた目はずっと覚えている。僕はというと、チャンスの言うジョークやギャンブルの話が面白く、ついつい仕事を疎かにして話し続けてしまう。あの人はとても話し上手で、いつも僕に違う世界を見せてくれる。
いつか、友人になれたらどれほど嬉しいか...
なんてくだらないことを考えていたら、ピザが僕を黙らせるために焼けた合図をした。急いで皿を取り、手が滑って落としそうだったのをどうにか掴んでピザを上に乗せる。
気をつけながら両手で彼が待っているテーブルへ歩く。
僕が厨房から戻って来て、手に持っているピザを見た途端、「よくできてるな!さすがエリオットの焼いたピザだ!」といつもの調子で褒めてくれた。僕の耳が、少し熱くなったような感覚がする。その感覚を少しでも和らげるように、深呼吸をする。僕は褒められただけで照れるような子どもじゃない。多分。
彼が待ち望んでいるのが、ピザではなく僕だったらよかったのに。そんな思いと一緒にピザをゆっくりとテーブルに置き、僕たちは二人の世界に入る。
おやじギャグを交えながらのギャンブルトークは非常に興味深く、今まで一切興味がわかなかった僕も彼のトーク力ですぐにのめり込んでしまう。
ギャンブル以外にも他の色々なことを教えてくれて、勉強になっている面もある。正直、少しだけギャンブルをしてみたい...彼が連れて行ってくれるならの話だが。
彼のサングラスの反射がオレンジ色から暗くなった時、僕は初めて話しすぎたことに気づいた。急いで立ち上がり、店の片付けを始めようとすると、低い悲しそうな声が後ろから聞こえた。
「おい、もう時間か?」「はい、そうなんです。すみません。」「いやいや、謝ることねえよ!じゃあさ、この後ヒマ?街で遊ぼうぜ。大丈夫、危ないことはしねえから。運の女神に誓ってな!」さっきとは真逆の、子どもがはしゃいでいるような声が耳に入る。僕は冗談でわざとらしくため息を吐いて、笑いながら「分かりました」と返事をした。
早く終わらせないと。
まあ終わったら直すし