創作オリ棒

14話です✋️
コメ欄みてね

あの日から二週間が過ぎた。
まだ…哄さんが姿を現すことはない。
そんなある日の朝、ポストに一通の手紙が届いていた。差出人は、哄さんからだった。
『突然の手紙、失礼しますね。哭についてです。哭はそちらに預けたままのほうがいいのかもしれません。用事があるときにまた訪ねます。哭を傷つけたら…わかっていますね?よろしくおねがいします。それと、近頃、周辺のモンスターの機嫌が悪いようです。お気をつけを…死なれちゃ困りますからね。 哄』
「……うわ、手紙からでもめちゃくちゃ圧を感じる……」
俺が思わず身震いしていると、手紙を覗き込んだ美さんが、険しい表情で口を開いた。
「確かにこの頃…なにかおかしいですわね…普段ならモンスターはこの辺りには出てこないはずですわ。気が触っているのかしら…」
「怖いですね〜っ、気をつけていきましょ…! 鎖さんのとこに行って調べてもらいませんか? あの人は基本的研究所にいますよ!」
日辻さんも不安そうに身をすくめ、何かを思いついたようにポンと手を叩いた。
哄さんの警告も気になる。俺はみんなの顔を見回した。
「うん!行ってみよう!!」
留守番を引き受けてくれた哭さん、日辻さん、祈さんに家を任せ、俺は美さんと和仁さんと一緒に歩いて研究所へと向かった。
「ついた!」
目の前に現れた重厚な扉を開け、俺たちは中へと足を進める。
薄暗い研究所の奥に、二人の人影が見えた。
「やあ、僕は包帯!鎖の知り合いかな…って和仁…おm…君もいるんだね?」
包帯を巻いた風変わりな男が、わざとらしい笑みを浮かべてこちらを見ていた。
「包帯じゃないか…随分と丁寧な言葉で喋ってくれるんだな」
和仁さんが応じる。
「うるさい。ところで君!名前は?」
急に水を向けられ、俺はドギマギしながら自分を指さした。
「えっ……俺か……。メインだよ。よろしくね」
俺の名前を聞いた包帯さんは、ニヤニヤと意地の悪そうな笑みを深める。
「へえー!ヘタレそうだね。メインくんよろしく!」
初対面でいきなりヘタレ呼ばわりか。俺は苦笑いしながらも、脳裏に一瞬だけあの人の姿がよぎった。
(……祈さんも、初めて会ったときに同じこと言ってたな……。俺ってそんなに弱そうに見えるんだろうか)
そんな心の声を隠しつつ、俺はなんとか大人の対応を取り繕う。
「ああ、あはは……。まあ、自覚はあるから否定はできないかな。よろしくね、包帯さん」
「ちょっと、包帯さん…初対面の方に対して失礼ですわよ」
美さんがむっとした表情で言う。
「相変わらず口の悪い奴だな。……で、鎖はどこにいる?」
和仁さんが呆れたように視線を巡らせた、その時。
⛓️「……うっさいな。包帯、あまり客人をからかうなと言ったはずでしょ」
包帯さんのすぐ横。キャスター付きの動く椅子の上で、両性の研究者である鎖さんが不機嫌そうに声を上げた。
鎖さんは白衣を纏い、椅子の上で膝を抱えて丸くなる『三角座り』の体勢をとっている。
じーっと俺たちを睨みつける鎖さんの顔。目があるべき場所には、金属製の『ジッパー』が付いていた。
前に会ったときも思ったけれど、やっぱりいつ見ても強烈なビジュアルだ。
ジッパーがシャッと音を立てて開くと、そこから剥き出しになった奇妙な隙間へ、鎖さんは手元の飴玉をポイと放り込む。
咀嚼する音と共に再びジッパーが閉められ、鎖さんはツンとそっぽを向いた。
⛓️「メイン、元気だった?あっ、別に心配してるわけじゃない!怪我して来られたら、前のあたしの治療なんて意味ないじゃない。」
俺はその独特なツンデレな物言いに懐かしさを覚えつつ、必死に言葉を返した。
「鎖さん、久しぶり! そうなんだよ、最近このあたりに変なモンスターが出没するらしくて……。哄さんからの手紙にも注意しろって書いてあったんだよ。」
俺が手紙の文面を伝えると、鎖さんは椅子を少しだけ俺たちの方へ転がし、ジッパーの奥から「ふん」と鼻を鳴らした。
⛓️「哄、か。あの気味の悪い男がわざわざ警告してくるなんてね。確かに、事態は想像以上に深刻みたいだよ。あたしの調査でも、近隣の魔力濃度が異常に上昇しているデータが出ているんだ」
「そうそう!モンスターたちがみんなイライラしてて、狂暴化の一歩手前って感じなんだよねー。まるで何かに怯えてるみたいにさ!」
包帯さんはケラケラと笑いながらそう付け加えた。
「何かに怯えている……? 普段なら温厚なモンスターまで理性を失いかけているのは、それが原因ですの?」
美さんの問いに、鎖さんは椅子の背もたれに体を預け、再びジッパーを開けて新しい飴を放り込んだ。
⛓️「可能性は高い。この地域一帯の生態系を脅かす、なにかがいるのかもね……これを見なよ」
鎖さんが手元のリモコンを操作すると、壁のモニターにこの付近の魔力マップが表示された。
赤く明滅する警告ランプが、俺たちの住むエリアのすぐ近くを指し示している。
「面倒なことになってる。早く原因を突き止めないと、家に残してきた哭や日辻たちにも危険が及ぶ。」
俺の胸がドクンとした。あの哭さんが、やっと掴みかけた穏やかな日常。それを壊させるわけにはいかない。
「……そんなの絶対ダメだ。俺たちがなんとかしないと!」
俺は拳を握りしめた。
「へ〜え?まあ、いいと思うよ…?」
⛓️「ちょっとまってよ!」
鎖さんが椅子の上で激しく身を乗り出し、ツンとした声で俺を怒鳴りつける。
「凶暴化したモンスターがどんだけ強いか知らないでしょ! しかも、この事件はただ事じゃないし、人為的に起こったように思える。あたしが調べるから、あんたたちはお家で待っといてよ。今はモンスターたちには手を出さないほうがいい。」
怒りながらも的確な指示をくれる鎖さんに、俺は少しだけホッとして微笑んだ。
「わかった。鎖さん、ありがとう!」
「べ、別にありがたがられるようなことはしてない! さっさと帰ってよね!」

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