創作オリ棒15話

つぎ/ 16話
まえ/ 14話

朝の爽やかな光がリビングに差し込む中、出かける準備をする俺たちの周りは、いつも通りの賑やかさに包まれていた。

「美さん、その荷物も俺が持つよ!」
俺は元気よく声をかけ、出発の準備を整えている。
「あら、ありがとうございます。本当に頼りになりますわね、メインくん」
美さんは上品にお嬢様言葉で微笑んだ。

その傍らでは、体から独特の魚臭さを漂わせた和仁さんが、頭全体を覆う大きな竹帽子を深く被り直し、無言で武器の調子を確かめている。
「……準備万端だな。いつでも行けるぞ」

「ん~、今日もいい天気だね~☆ モンスター退治が楽しみだな~!」
いつも通りヘラヘラとした軽い調子で、祈さんが台所の包丁をポケットに忍ばせる。顔に貼られた紙が、彼の不敵な笑みとともに揺れていた。そんな俺たちの姿を、部屋の隅からオドオドとした様子で見つめている人物がいた。気が弱く、いつも周囲に怯えがちな哭さんだ。
「あ、あの……みなさん、本当に気をつけてくださいね……? 強いモンスターが出たら、無理せずに……ひゃっ!?」
自分の声の大きさに自分で驚いたのか、哭さんは肩をビクッとすくめた。

その様子を隣で見ていた日辻さんが、ふわりとした優しい笑みを浮かべて哭さんの背中をそっと撫でる。
「日辻さん、哭さん、行ってくるね!」
俺が満面の笑みで手を振ると、美さんも「行ってまいりますわ」と綺麗に一礼した。和仁さんは竹帽子の下から「行ってくるな」と小さく頷き、祈さんは「はーい、行ってきまーす☆」と軽快に玄関へと向かう。

「き、気を付けてね……いってらっしゃい」
哭さんの少し震える声に見送られ、俺たち4人は青空の下へと歩き出した。

◇

ザシュッ!という鈍い音とともに、最後のモンスターが地面に倒れ伏した。

「ふぅ……これで全部倒せたね」
俺は武器を収め、大きく息を吐き出した。今回の依頼も無事に完了……そう思った直後、すぐ近くで短い呻き声が聞こえた。

「――っ、あ、痛た……っ」
振り返ると、祈さんが両手で激しく目を覆い、その場にうずくまっている。いつもヘラヘラと包丁を持ち歩いているあの祈さんが、明らかに尋常ではない様子で苦しんでいた。

「祈さん!?」
その隙を突かれ、モンスターの執念深い最後の一撃が祈さんの身体をかすめる。

「くそ、この……しぶとい奴だな……!」
和仁さんが素早く動き、竹帽子の下から鋭い視線を放ちながらモンスターの残党を完全に片付けた。魚臭さが、戦場の緊張感とともに鼻を突く。

美さんが上品な足取りで駆け寄ってきた。
「祈さん、大丈夫でございますか? 酷い怪我ですわ……!」

モンスターを完全に討伐した後、俺はひどく心配になって、怪我をした祈さんに声をかけた。
「大丈夫だった? どうして急に目を痛めてたの?」

すると祈さんは、いつもの軽い調子を取り戻したように、ヘラヘラと笑ってみせた。
「さぁね、僕にはわかんないな~急に痛くなっただけ~☆」

そう言って笑う祈さんの顔を見て、俺は息を呑んだ。いつもなら、紙が貼ってあって絶対に見えないはずの、祈さんの両目。それが、今ははっきりと露出していたのだ。祈さんは、他に聞くことはないのかという目をしながら、じっと俺を見つめてきている。その視線に押されるように、俺はずっと気になっていた疑問を口にしてしまった。

「そういえば、聞きたかったんだけど……美さんとか祈さんって、片目が黒いよね。どうして?」

その瞬間、空気が凍りついた。

さっきまでの和やかな雰囲気が、嘘のように一変する。祈さんの目がすっと細くなり、次の瞬間、俺のほっぺを「むぎゅっ」と力任せにつまんできた。行動自体は可愛らしく見えるかもしれない。だけど、向けられている俺からすれば、普通に怖くて身体が震えた。祈さんは完全に真顔だった。その瞳の奥で、何かを激しく思考し、冷たい感情を張り巡らせているのが伝ってくる。

数秒の、気の遠くなるような沈黙。やがて祈さんは、パッと手を離すと、またいつものように笑った。
「……なんでなんだろ~ね☆」

「お待たせいたしましたわ! 傷の手当てを――」
美さんが駆け寄ってきたことで、場の張り詰める空気は一気に霧散し、元の和やかな雰囲気が戻った。

(……言っちゃいけなかったのかな……)
俺は心の底から後悔しながら、みんなと一緒に住処への帰路についた。帰っている途中も、祈さんはずっと不機嫌オーラを隠そうともせず、いつもより口数が少なかった。

重苦しい空気のまま、ようやく俺たちの住処にたどり着く。玄関の扉を開けた瞬間、上の方からドタバタと大きな足音が響いてきた。

「なんだか、二階がにぎやかだね……?」
俺が呟くと、美さんも不思議そうに首を傾げた。「なんだろうね」とみんなと言い合いながら、階段を上がって二階の部屋へと向かう。

騒がしい部屋の扉をそっと開けると、そこには――。見覚えのある包帯さんと、……知っている人がいた。

続く

うい
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あら
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つくねろいど
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•Edited