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「……行こう。」

僕たちは息を飲み、施設の中に入った。
ここは、僕の兄・メインが送られた施設のルーツであり、華ちゃんのお姉さん・美さんが消えた場所。二人の行方を探すための、唯一の手がかりだ。

突き当たりにあったのは、重厚な鉄の扉だった。
錆びついた取っ手に手をかけ、力を込めて押し開ける。

☀️「……っ、これは……」

部屋の中央には、見たこともない複雑な紋様が描かれた巨大な機械が鎮座していた。
その時、突如として機械が駆動するような低い地鳴りが響き渡る。

「ツインくん、危ない……!」

華ちゃんが叫んだ瞬間、部屋全体が眩い白銀の光に包まれた。
視界が真っ白に染まり、強烈な浮遊感が僕たちを襲う。華ちゃんの手を離さないよう、僕は必死にその冷たい指を握りしめた。

「……くん。ツインくん、起きて」

耳元で聞こえる華ちゃんの声に、僕はゆっくりと目を開けた。
コンクリートの床も、薬品の匂いも消えていた。視界に飛び込んできたのは、見渡す限りに広がる鮮やかな緑の草原と、どこまでも高い青空。

☀️「え……? ここ、どこだ……?」

起き上がり、周囲を見回す。烏ノ宮研究所の廃墟なんて、影も形もない。
まるで別の世界に放り出されたような感覚に、僕たちは呆然と立ち尽くした。

「わからない。でも、空気の匂いが……私の知っている現代とも、戦前とも違う気がする」

華ちゃんが不安げに周囲を警戒する。
とにかく情報が必要だ。僕たちはあてもなく、どこまでも続く草原を歩き始めた。

どれくらい歩いただろうか。背後から、ひどく場違いな、軽薄で楽しげな声が降ってきた。

「おやおや、こんなところで迷子かな? 」

☀️「うわっ!?」

驚いて振り返ると、そこには奇妙な人物が立っていた。
頭に、隙間なく白い包帯が巻き付けられている。なんとも言えない、グレーの服を着ている。

☀️「だ、誰ですか……?」

「僕? 僕は『包帯さん』って呼ばれてるよ。見ての通りさ。まあ、そこに突っ立ってても、夜になったら凶暴な生き物に食べられちゃうだけだけど、どうする?野垂れ死にたくないならついてくれば?」

包帯さんはそう言って、くすくすと肩を揺らした。
怪しすぎる。けれど、この広大な草原で彼を逃せば、本当に遭難してしまうかもしれない。

「……ツインくん、この人から悪い気配はしない。ついていってみよう」
華ちゃんが僕の袖を引いて囁いた。数十年を生き抜いてきた彼女の直感を、僕は信じることにした。

☀️「……わかりました。ついていきます」

「話が早くて助かるよ。じゃ、こっちね」

包帯さんの後ろを歩くこと数十分。
なだらかな丘を越えた先に見えた光景に、僕は思わず目を疑った。

草原の真ん中に、ぽつんと一軒の家が建っていた。
それは、どこにでもありそうな木造建築でおしゃれな一軒家。大自然が広がるこの世界の雰囲気とは、とても合っているように見える。

「さあ、着いたよ。僕の家に来たら、同居人が嫌がるから⋯知人の家だ。」

包帯さんは振り返り、見えない目で僕たちを見つめながら、楽しそうに扉を開けた――。

「おじゃましまーっす☆」