短編小説「MONOGATARI」

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2話 君を知りたい。

太陽が高い位置に昇る週末。ニアンはライと二人で、街で一番大きなショッピングモールへと来ていた。
「どこか行きたいところある、ライくん?」
ニアンの声は、学校やチームでの荒々しい口調とはまるで違っていた。まるで別人。柔らかく、優しく、普通の女の子の口調だ。ライといる時だけ、彼女の口の悪さは無くなる。
「えっと、じゃあ、映画、、、とか?」
「映画か〜!いいね!なんていうやつ?」
「この前、ニュースでやってたやつかな、、、?ニアちゃんは?何見たい?」
ライは緊張しながらも、目を輝かせる。ニアンはにっこり笑う。
「ライくんが見たいなら、ボクもそれにするよ。」
二人はチケット売り場に並んだ。ニアンはライの隣で、時折通り過ぎる人々を警戒するような目つきをしたが、すぐに隣のライに意識を戻す。ライの少し大きなハイネックが、白い顎のラインを隠していた。(なんかえrいなぁ)
映画が始まるまで時間があったので、二人はフードコートへ向かった。
「お腹空いたね。ライくん、何食べる?」
「自分は、えっと、オムライスにしようかな!あの、ケチャップで何か書いてくれるやつ!」
ライは指さした店のメニューを見て、少し興奮気味に言った。ニアンはライの頬が緩んでいるのを見て、自然と笑みがこぼれる。
「ボクは、特にいいかな。あ、でも、食後の飴は欲しいな。」
ニアンはバッグから、色とりどりの包み紙にくるまれたキャンディを取り出し、ライに見せた。
「飴、好きなんだ。色々試すんだけど、結局、甘いやつに戻るんだよね。ライくんはオムライスが好きなんだね。かわいい!!」
「、、、っ!!ありがとう、、、。ニアちゃん、飴ばっかりだと、ご飯食べなくなっちゃうよ?」
「いいんだもん!」
他愛のない会話。殺し屋の仕事や学校の噂話とは無関係な、平和で穏やかな時間。二人の間の空気は、急速に温かく、そして親密になっていった。
食事を終え、映画館に向かう途中、二人はエスカレーターに乗った。
ニアンが後ろからライの服の裾を、いたずらで軽く引っ張った、その瞬間だった。ライがバランスを崩し、その拍子に、いつも彼の口元を固く守っていたハイネックが、するりと首から外れてしまった。
「あっ、、、!」
ライは慌ててそれを拾おうとしたが、ニアンの方が速かった。
露わになったライの口元を見て、ニアンは一瞬息を呑んだ。
ライの歯は、全てが鋭く尖っていた。それはまるでノコギリの刃のような、ギザ歯だった。(ギザ歯かわいいよね)ハイネックで隠していた理由が、すぐに分かった。
ライは羞恥で顔を赤くし、下を向いた。
「ご、ごめん、ニアちゃん、、、その、僕、こういう歯で、、、気持ち悪い、よね、、、?」
ライは悲しそうに、顔を隠すように俯いた。
しかし、ニアンは、しばらく沈黙した後、その青い瞳をキラキラと輝かせた。
「ライくん、、、」
ニアンは思わず声をあげた。
「すっごく、かっこいい!!」
ニアンは、心からそう言った。
「えっ、、、?」
ライは驚いて顔を上げた。ニアンは、本気で「かっこいい」と思っている、心底惚れ惚れした表情をしていた。
「ギザ歯って、漫画とかアニメの世界かと思ってた。ライくんにすっごい似合ってるよ!!!」
ニアンの純粋な言葉は、ライにとって初めての経験だった。「気持ち悪い」と言われると思っていたライの瞳から、安堵と喜びの涙が滲みそうになった。
「あ、ありがとう、、、ニアちゃん、、、!」
ライは照れくさそうに笑った。
その瞬間、二人の間の距離は、決定的に近くなった。
その後、映画館の暗闇の中で、二人は時折、手を触れ合わせた。(イチャコラやめぇ)映画の内容は、もはやどうでもよかった。ニアンとライ、殺し屋という共通の裏の顔を持つ二人は、お互いにとってかけがえのない、唯一無二の存在になりつつあった。

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