短編小説「MONOGATARI」

4話の予告↓
https://magma.com/artist/user-hz711z/posts/68e36a2ce30d1872d1b58f37
最終話
https://magma.com/artist/user-hz711z/posts/6923b51cf209b0c6035c2354

これを投稿するためだけに戻ってきました。
4話 嘘つきな君をボクは許さない。

季節は巡り、街は冷たい冬の空気に包まれていた。
あの花火大会での喧嘩以来、ニアンはライの姿を見ていない。学校にも、殺し屋のチームの溜まり場にも、ライは現れなかった。ニアンはライにきつく当たったことを後悔したが、「許す」というライの言葉への怒りと、寂しさが入り混じり、自分から連絡することもできなかった。
「ライくん、どこに行っちゃったの、、、?」
ニアンは夜の任務の合間、チェンソーの血を拭いながら、何度も心の中でつぶやいた。あの柔らかい笑顔と、優しげな声が、彼女の心を締め付ける。ライといる時だけ、普通の女の子に戻れた自分を、ニアンはもう知ってしまっていた。
冬の初め、ニアンが所属する殺し屋のチームに、リーダーから緊急の招集がかかった。
「皆、悪い知らせだ。」
リーダーは重々しい顔で告げた。
「我々の内部に、裏切り者がいた。奴は情報を流し、我々の作戦を何度も妨害していた。そして、その裏切り者は――ライだ。」
ニアンの頭の中で、ドクンと何かが鳴った。血の気が引き、周囲の音が遠のく。
「な、に言ってんだ、、、?」
ニアンは震える声でつぶやいた。
「あのガキは、我々の敵対チーム――『アビス』のスパイだった。奴は最初から我々に潜り込むために入ってきたんだ。そして、奴らは先日、リーダーを失った。アビスの連中が、今日、新しいリーダーを選ぶ儀式を行うという情報が入った。」
ニアンの心は激しく波打った。敵対チーム。ニアンの両親を殺したチーム。そして、その新しいリーダーに、ライがなるというのか?
「冗談だろ、、、」
「これが現実だ、ニアン。そして、、、お前には、この任務を任せる。」
リーダーは、ニアンを真っすぐに見つめた。
「新しいアビスのリーダーを、就任と同時に始末しろ。お前ならできる。今日からお前が、この討伐チームのリーダーだ。」
あの楽しかった週末、飴やオムライスの話、ギザ歯をかっこいいと褒めた日。全てが嘘だったのか?彼が自分に優しかったのは、任務のためだったのか?
(許さない。)
憎しみだけが、彼女を突き動かす燃料になった。
雪が舞い散る深夜。ニアンは討伐チームを率いて、アビスの組織が儀式を行うという、廃墟の教会の裏手に潜入した。
教会の内部から、ざわめきが聞こえてくる。ニアンは冷たい鉄の扉に耳を当てた。
「、、、これより、アビスの新リーダーを迎え入れる!」
重厚な声が響き、大きな拍手が起こる。
ニアンは合図とともに、扉を蹴破り、チームとともに突入した。
「全員、動くな!」
チェーンソーを構えたニアンの視線の先には、教会の祭壇。そこには、背の高い男が一人、背中を向けて立っていた。その男は、教会のステンドグラスから差し込む月の光を浴び、ゆっくりと振り返ろうとしている。
その後ろ姿。
ニアンは、その肩幅、背筋、そして、あの服には見覚えがあった。ニアンと色違いで買った、あの時と同じ服だった。
ニアンの手から、チェンソーが滑り落ちそうになった。
男は、ニアンたちに背を向けたまま、祭壇に一歩進み出た。そして、彼の顔が月の光に照らされる瞬間――
ニアンの口から、か細い、かき消えそうな声が漏れた。
「ライ、、、くん、、、?」

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