短編小説「水色のジブン」

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第4話 一人じゃない
葉月の生活は、昼と夜で、まるで別の世界のようだった。
昼間は、学校と、そこから帰ってきた後の息苦しい家。親戚の冷たい視線と、遠回しな嫌味。
「最近、成績が落ちているようだけど。なまけすぎているんじゃない?」
夕食の食卓で、親戚の冷たい声が響く。葉月は、思わずスプーンを落としそうになった。
「い、いえ、そんなことは……」
「VTuberとかいう、怪しげなものにうつつを抜かしているらしいじゃないか」
親戚は、葉月の配信活動を知っていた。葉月は、全身の血の気が引いていくのを感じた。
「そういうのは、暇な人がやるものよ。あなたには、やるべきことがあるでしょう?」
葉月は、何も言い返すことができなかった。その言葉は、葉月の心を深くえぐり、まるで鋭い氷の刃が突き刺さるようだった。
(私は…VTuberをやめるべきなのかな)
自室に戻ると、葉月はベッドに倒れ込み、涙を流した。親戚の言葉が、葉月の心に重くのしかかる。
「もう、何もかも嫌だ……」
その夜、葉月は、いつものように配信をしようと、パソコンに向かった。だが、電源を入れる手が震えて、なかなかキーボードに触ることができない。
「皆さん、こんばんは。水色の画用紙です」
か細い声で配信を始めると、コメント欄には、いつものように温かいメッセージが並んだ。
きゃろる:こんばんは!
とんかつソース:今日は何の絵を描くんですか?楽しみです!
雪見だいふく:今日も可愛いです!
「あ、ありがとうございます……」
葉月は、震える声で感謝の言葉を伝える。しかし、いつもと違う葉月の様子に、ファンたちはすぐに気づいた。
きゃろる:どうしたんですか?元気ないみたい…
とんかつソース:もしかして、何かあったんですか?
温かい言葉に、葉月は涙をこらえきれなくなった。
「ごめんなさい……ちょっと、辛いことがあって…」
葉月は、堰を切ったように、親戚から言われた言葉や、自分の孤独を語り始めた。コメント欄のファンたちは、静かに、そして真剣に葉月の話を聞いてくれた。
きゃろる:無理しないでください。私たちは、いつでも水色の画用紙さんの味方です!
とんかつソース:辛いときは、いつでも僕たちを頼ってくださいね!
雪見だいふく:水色の画用紙さんは、一人じゃないですよ!
画面の向こうから届けられる、温かい言葉の数々。それは、葉月がずっと欲しかった、心からの愛の言葉だった。
(私は、一人じゃないんだ)
葉月は、画面を見つめながら、心の中でそうつぶやいた。この場所には、本当の自分を認めてくれる人たちがいる。この場所には、私の心の居場所がある。
親戚からの言葉は、確かに葉月の心を傷つけた。しかし、VTuberとしての活動は、その傷を癒し、葉月の心を支える、かけがえのないものになっていた。
「ありがとうございます……皆さんのおかげで、また頑張れそうです」
葉月は、心からの笑顔で、そう答えた。
「じゃあ、今日は、みんなに感謝の気持ちを込めて、この子を描きます!」
葉月は、満面の笑みで、画用紙にペンを走らせた。その手は、もう震えてはいなかった。

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あ
•1yr