短編小説「水色のジブン」

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エピローグ https://magma.com/artist/user-hz711z/posts/68cbe43ad2a647527ef6ea11

最終話 水色のジブン
「ねぇ、葉月。今度、みんなでドーナツ食べに行かない?」
放課後、クラスメイトから誘われた葉月は、いつものように笑顔で「ごめん、ちょっと用事があって」と断ろうとした。しかし、その時、葉月の頭に「水色の画用紙」として配信していたときの、ファンの温かいコメントが浮かんだ。
(私は、もう、本当の自分を隠さなくてもいいんだ)
「……いいよ!行く!」
葉月は、初めて心からの笑顔で答えた。クラスメイトは驚いた顔をしたが、すぐに嬉しそうな表情になった。
ドーナツショップで、葉月は「水色の画用紙」として話したことと同じように、好きなことや最近ハマっていることなどを話した。それは、今まで「理想の小鳥遊葉月」を演じていたときには話さなかった、本当の葉月の姿だった。
家に帰ると、親戚が葉月を待っていた。
「最近、また帰りが遅いようだけど?」
親戚の冷たい声に、葉月の心は凍りついた。だが、もう逃げない。葉月は、まっすぐ親戚の目を見つめた。
「友達と、ドーナツを食べに行ってました」
親戚は、眉をひそめて言った。
「くだらないことに時間を浪費して。そんなことをしている暇があるなら、勉強でもしなさい」
「くだらなくなんかない!」
葉月は、生まれて初めて、親戚に反論した。
「私にとって、大切な時間です。友達と話すことも、絵を描くことも、私にとって、とても大切なことなんです!」
葉月の声は震えていたが、その瞳には強い光が宿っていた。
「あなたの言う通り、私は完璧な人間じゃない。勉強が苦手で、ドーナツが好きで、絵を描くことが大好きで、そして……寂しがり屋で、臆病な人間です。でも、私はこの自分が嫌いじゃない!」
葉月は、涙を流しながら、親戚に語りかけた。親戚は、何も言い返すことができなかった。
その夜、葉月は自室に戻ると、配信を始めた。
「皆さん、こんばんは。水色の画用紙です」
配信画面に、いつものように自分の描いたキャラクターが映し出される。
「今日は、みんなに話したいことがあります」
葉月は、親戚と話したこと、そして自分の気持ちを、ファンたちに語った。
きゃろる:水色の画用紙さん、よく言いました!
とんかつソース:かっこいい!
ファンたちは、葉月の勇気を称賛してくれた。その温かい言葉は、葉月の心を温かく包み込み、そして、大きな自信を与えてくれた。
葉月は、もう「偽物の小鳥遊葉月」を演じる必要はなくなった。家に帰っても、親戚の冷たい視線は変わらないかもしれない。だが、葉月の心には、もう孤独はなかった。
窓の外は、相変わらず雪が降り積もっている。だが、葉月の心は、春のように温かい光に満ちていた。
葉月は、キャンバスに向かう。そこに描かれるのは、きっと、本当の葉月自身だ。
だから今日も葉月は画用紙に絵を描く。
いつまでも本当の笑顔でいられるために。